加齢性難聴の啓発に基づく健康寿命延伸事業

事業名

日本医学会連合 領域横断的連携活動事業(TEAM事業)
加齢性難聴の啓発に基づく健康寿命延伸事業

代表者

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 理事長  大森 孝一

参加学会

基礎部会日本生理学会、日本薬理学会
社会部会日本公衆衛生学会
臨床内科部会日本老年医学会、日本老年精神医学会、日本神経学会
臨床外科部会日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
その他日本言語聴覚士協会

事業内容の概略

難聴はコミュニケーション障害の原因となるとともに、うつ病や認知症など様々な疾患の発症リスクとなることがわかってきました。難聴に対して早期に適切な介入を行わない場合、著しい生活の質(QOLと呼ばれます)の低下を来たすだけでなく、医療費の増大や就業機会の喪失など大きな経済的損失を来たします。本邦では補聴器による介入が必要な中等度以上の難聴者が高齢者を中心に多数存在しますが、補聴器や人工内耳といった聴覚補償機器の普及が遅れています。
難聴の予防・早期診断・適切な介入について国民に広く啓発することは極めて重要であることから、本事業では難聴に関連する学会が領域横断的に連携し、こうした啓発事業に取り組むとともに、将来的な政策提言に向けた土台作りを行うことを目的としています。本事業を通して国民の健康長寿に資するとともに、経済的損失の軽減に貢献することを目指しています。

事業報告

加齢性難聴はコミュニケーション障害を引き起こすだけではなく、うつ病、認知症、社会的孤立、収入減少など様々な身体的・社会的問題の発生リスクを高め、介護状態に陥る手前の状態であるフレイルとも密接な関係があることから、難聴の予防、そして難聴発症後の早期診断や適切な介入は極めて重要です。
そこで市民に対する啓発および他診療科医師・医療従事者との連携強化を目的として、本事業を実施しました。連携強化のための領域横断的なシンポジウム、市民公開講座、市民の皆様がアクセスしやすい情報ポータルサイト作成、メディア向けセミナーを実施し、事業の最後に参加8学会合同で「共生社会の実現と健康寿命の延伸を目指した加齢性難聴対策に関する共同宣言」を発出しました。またそれらの事業を通じて多くの共同研究の開始や論文出版が実現するとともに、テレビや新聞など多くのメディアで報道されました。