神戸宣言 2018 日本医学会連合 領域横断的肥満症ワーキンググループ
神戸宣言2018
2018年10月7日
【本文】
日本肥満学会は2000年に「新しい肥満の判定と肥満症の診断基準」を発表し、BMIで規定される肥満(Obesity)から、肥満に起因ないし関連する健康障害を合併し、医学的に減量を必要とする肥満症(Obesity disease)を選び出し、医学的に適切な治療・管理の対象とすることとしました。すなわち、肥満という身体状況を判定することと医学的観点から減量を必要とする肥満症を疾病として診断することを明確に区別しました。また、肥満症は必ずしも肥満の程度によらず、内臓脂肪蓄積のある場合には軽度な肥満でも健康障害を発症しやすいことが知られています。肥満症の診断基準には、肥満に起因ないし関連し、減量を必要とする健康障害として、11の疾患・健康障害(耐糖能障害、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞、非アルコール性脂肪性肝疾患、月経異常・不妊、閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、運動器疾患、肥満関連腎臓病)が挙げられています。肥満がもたらす健康障害は多岐に亘るものであるため、肥満症の治療には、様々な立場の医療者の協力が必要です。肥満症の治療には食事療法や運動療法が重要ですが、高度肥満症においては、薬物療法や外科療法も選択肢となります。また小児の肥満では家庭、学校を含めた取り組みも重要であり、高齢者の肥満ではサルコペニアやフレイル、ロコモティブシンドロームの予防にも留意する必要があります。
このように肥満症への有効な対策を行うためには、社会を含めた多面的な協力・連携が重要と考えられ、日本医学会連合に加盟する内科系学会はもとより、外科系学会・小児科学会・産科婦人科学会・整形外科学会・精神神経系学会などとも連携して、わが国の英知を結集し領域横断的に対応することが必要であると考えます。日本医学会連合の中で肥満症と関連する23学会が、第39回日本肥満学会の開催されている神戸に集結し、肥満症の撲滅を目指して、領域を超えて協働することに合意しました。その決意をここに「神戸宣言2018」として宣言します。
第39回日本肥満学会
日本医学会連合「領域横断的肥満症ワーキンググループ」23学会*
*日本肥満学会
日本内科学会
日本糖尿病学会
日本動脈硬化学会
日本高血圧学会
日本循環器学会
日本呼吸器学会
日本肝臓学会
日本腎臓学会
日本外科学会
日本整形外科学会
日本小児科学会
日本産科婦人科学会
日本病態栄養学会
日本体力医学会
日本癌学会
日本疫学会
日本老年医学会
日本脳卒中学会
日本肥満症治療学会
日本臨床栄養学会
日本痛風・核酸代謝学会
日本総合病院精神医学会

