会長挨拶

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医学及び医療水準
向上のために

2017(平成29)年6月15日、日本医学会連合定時総会において、髙久史麿前会長の後任として日本医学会連合会長に選任されました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 当法人は、「医学に関する科学及び技術の研究促進を図り、医学研究者の行動規範を守ることによって、わが国の医学及び医療の水準の向上に寄与すること」(定款)を目的とした、日本の医学界を代表する学術的な全国組織の連合体で、現在、臨床部門(96学会)、社会部門(19学会)、基礎部門(14学会)の計129学会からなり、各学会に所属する会員の総数は約100万人です。

 この機会に、皆様に当法人の成り立ちについて紹介させていただきます。

 日本医学会は、1902(明治35)年に日本聯合医学会として創設され、1910年に日本医学会(以下「医学会」)と改称、4年毎に医学会総会を開催する自主独立の組織として活動を続けておりました。戦後間もなくの第12回日本医学会総会(1947年)において、4年毎の総会開催にとどまらず、医学会を恒久化し、常時活動する組織となることが提案されました。一方、その年に日本医師会(以下「医師会」)が新しく社団法人として再出発しましたが、GHQは医師会に学術的な機能を持たせる必要があるとして、1948(昭和23)年に医学会の意向に反し医学会を医師会に合流させました。その時から、医師会定款に「本会に、日本医学会を置く」と記載され、医学会は医師会の組織の一部となりました。歴代の医学会長はこの体制には疑問を感じながらも、最近までこの関係は続いてきました。

 2006(平成18)年に入り、医学会のあり方を見直す動きが始まり、翌年の定例評議員会で体制を変更する案が承認されました。その運動の一環として、医学会が当時の107の所属学会に対して医学会の将来の存立形態のあり方について尋ねたところ、多くの学会から医学会は法人化すべきであるとの意見が寄せられました。その後引き続き検討を進め、2011年開催の医師会・医学会役員協議会で当時の医師会長より、法人化の方向性を認める回答が出されました。そこで、医学会では法人化準備委員会を立ち上げ、「一般社団法人日本医学会」の組織や運営に関する基本構想等の具体的な検討に入り、最終的に、2013年2月開催の医学会定例評議員会において2014年4月を目途に法人化することを決定しました。

 しかし、2013年4月、日本医師会は従来の定款の内容で公益社団法人として認められました。そのため、「日本医学会」の名称での法人登記は難しいと考えられ、医学会としては、「日本医学会連合」の名称で法人化することを採択し、2014年4月に「一般社団法人日本医学会連合」が発足したのであります。その後、日本医学会連合は日本専門医機構や日本医療安全調査機構などの重要組織に、医師会と同様、法人社員として参画しています。

 現在、医学会が医師会と合流して70年が過ぎようとしています。この間、国内外の政治、経済等の社会情勢の急激な変化とともに、医学・医療を取り巻く環境は、大きく変貌しています。こうした中で常に変わらない理念は、医学・医療が、個々人と集団の健康を守り、人類の福祉に寄与するために存在することであります。日本医学会連合は、この理念の達成のため、医学・医療の科学ならびに技術の革新を一層推進し、医学研究者が高い倫理観のもとに医学・医療に携わることを定め、わが国の医学・医療の水準の向上を目指し活動していかなくてはなりません。その際、医療に関わる社会活動においては、日本医師会や他の様々な医療関係団体と連携して責務を果たすべきことは言うまでもありません。日本医学会連合は、日本の医学界を代表する唯一の学術的な全国的組織の連合体です、自主独立のもとに確固たる理念と長期的ビジョン等を持つことが必要で、それにふさわしい組織として、我々の活動自体も進化していかなければならないと考えます。

 以上、就任のご挨拶の機会に、日本医学会連合の成り立ちと、我々の目指すべき理念を述べさせていただきました。何かお気づきの点やご要望等がありましたら、ご意見をお寄せください。

 今後とも、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

一般社団法人日本医学会連合会長
門田 守人

(2017年7月)